交通信号機の周期と現示秒数
一般的な車両用交通信号機の場合、灯器表示は、青色→黄色→赤色→青色と変化します。最初の色から一巡して元の色に戻るまでの時間を周期(サイクル)と言います。
この周期が如何にその交叉点に合った値で調整されるかによって、その交叉点の能力が決まります。
より多くの車両と歩行者を如何にストレス無く安全かつ効率的に通行させるかは、この周期と現示秒数で決まります。現示については、別ページで詳しく説明していますので、「交通信号機の現示」をお読み下さい。
歩道用信号機の周期と現示秒数
歩道用信号機は、歩行者が安全に道路を渡るための信号機です。
車両を止める時間は、歩行者が渡り終えるに必要な秒数に数秒をプラスした時間が最適だと考えられています。
プラス秒は、歩行者灯器の点滅時間とほぼ同じ秒数です。
歩行者灯器の点滅時間は、車両道路の幅の半分を渡るのに要する時間となっているケースが多い様です。これは、車両道路を半分渡り切った状態で、点滅が始まっても渡り切ることが出来、半分に達しない場合は、引き返すことが出来るためです。
しかしながら、車両道路の幅が広い場合は、このプラス秒を長くし過ぎると車両の停止時間が長くなるため車両の通行を妨げない様にするため5秒から10秒の範囲で設定することが多い様です。
<現示秒数例>
車両道路の幅:15m(対向片側1車線)、歩速:1m/秒(成人)+3秒
歩行者灯器青色点滅時間=15(m)÷2÷1(m/秒)=8秒(切り上げ)
道路横断時間=15(m)÷1(m/秒)+3秒=18秒
歩行者灯器の最低現示秒数:青色点灯=18秒、青色点滅=8秒
この秒数を確保値とし、次に説明している車両用信号灯器の交通量分配を考慮した上で確保値を下回らない秒数が割り当てられています。
車両用信号機の周期と現示秒数
車両用信号機には、車両が交叉する道路を円滑、安全に通行出来る様に周期と現示秒数が割り当てられています。
交通量の多い主道路側(幹線道路)に、交通量の比率等を元に青色秒数を長く割り当てています。(1周期における主道路と従道路との時間配分のことをスプリットと言います。)
平均的な交叉点での、比率は6対4となっています。
周期の時間を長くし主道路側の青色秒数を長くすれば主道路側を通過できる車両台数が増え円滑に流れることになります。他方、この主道路を横断する歩行者は、横断するための待ち時間が長くなりストレスを感じることになります。
車両も歩行者も赤色信号による待ち時間にストレスを余り感じない様にするための周期時間は、90秒以下にするのが良いと言われています。
<現示秒数例>
車両道路の幅:15m(対向片側1車線)、歩速:1m/秒(成人)+3秒、1周期時間:90秒、通行時間比率:6対4
歩行者灯器の最低現示秒数:青色点灯=18秒、青色点滅=8秒(先ほどの計算結果)
幹線道路側時間=90秒×6÷10=54秒
交叉道路側時間=90秒×4÷10=36秒
歩道用信号確保秒数判定は、36秒>18秒+8秒のためOK
幹線道路側車両灯器現示秒数:青色=52秒、黄色=3秒、赤色=25秒
交叉道路側車両灯器現示秒数:青色=22秒、黄色=3秒、赤色=55秒
幹線道路側歩行者灯器現示秒数:青色=17秒、青色点滅=8秒、赤色=55秒
交叉道路側歩行者灯器現示秒数:青色=47秒、青色点滅=3秒、赤色=25秒
歩道用信号確保秒数判定は、17秒+8秒>18秒+8秒のためOK(時間の短い幹線道路側歩行者灯器現示秒数で判定)
系統制御信号機の周期調整
赤色信号で止められていた車両が青色信号でスタートした場合、次の通過交叉点の信号機が丁度通過する時に青色信号となり、さらに、その先の通過交叉点でも同様に青色信号になると言うふうに変わるのが非常に円滑であり理想的な調整となります。(各交差点を円滑に通過できるように青色信号時間の開始時間をずらす調整をオフセットといいます。)
他方、この様な調整をすると、反対方向から通行する車両は、信号の接続が悪くなる事になります。朝夕のラッシュ時の様に一方向に車両が集中する場合には、有効ですが、通常の時間帯では、通行方向によって不公平感が生じることになります。
これを軽減するには、連動して順次表示が変わっていく交叉点の数を減らしたり、交叉点距離が長い交差点区間で一旦連動をしない様にするなどの工夫をしている様です。