交通信号機の法律とルール
交通信号機の仕組みを理解する上で知っておく必要があると思った交通信号機に関する法律とルールについて、調べた事を纏めています。
道路交通法
交通信号機は、全てこの法律に基づき細かな事項が決められています。
以下、関係する部分の抜粋です。
交通信号機とは、「道路における交通安全の確保と交通の流れを円滑にすることを(目的)とした装置」とあります。また、道路交通法では、(目的) 第一条に「この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。 」 とあり正に交通信号機は、道路交通法の目的を達成するのに重要なものです。
さらに、(信号機の信号等に従う義務) 第七条に「道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等(前条第一項後段の場合においては、当該手信号等)に従わなければならない。」とあります。
交通安全施設等整備事業の推進に関する法律
交通信号機は、誰が設置し維持管理するかを決めている法律です。
以下、関係する部分の抜粋です。
第一条 この法律は、交通事故が多発している道路その他特に交通の安全を確保する必要がある道路について、総合的な計画の下に交通安全施設等整備事業を実施することにより、これらの道路における交通環境の改善を行い、もつて交通事故の防止を図り、あわせて交通の円滑化に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「道路」とは、道路法 (昭和二十七年法律第百八十号)による道路をいう。
この法律において「道路管理者」とは、道路法第十八条第一項 に規定する道路管理者(同法第八十八条第二項 の規定により国土交通大臣が維持を行う道路にあつては、国土交通大臣)をいう。
この法律において「交通安全施設等整備事業」とは、前条の目的を達成するため、この法律で定めるところに従つて行われる次に掲げる事業をいう。ただし、第二号に掲げる事業にあつては道路の改築(同号イに規定する道路の改築を除く。)に伴つて行われるものを除く。
一 都道府県公安委員会(道路交通法 (昭和三十五年法律第百五号)第百十四条 の規定により権限の委任を受けた方面公安委員会を含む。以下同じ。)が行う次に掲げる事業
イ 信号機、道路標識又は道路標示の設置に関する事業
ロ 交通管制センター(信号機、道路標識及び道路標示の操作その他道路における交通の規制を広域にわたつて総合的に行うため必要な施設で政令で定めるものをいう。)の設置に関する事業
道路管理者が行う次に掲げる事業
イ 横断歩道橋(地下横断歩道を含む。)の設置に関する事業又は特に交通の安全を確保する必要がある小区間について応急措置として行う歩道若しくは自転車道の設置その他の道路の改築で政令で定めるものに関する事業
ロ 道路標識、さく、街灯その他政令で定める道路の附属物で安全な交通を確保するためのもの又は区画線の設置に関する事業
即ち、交通安全施設等整備事業を行えるのは、「都道府県公安委員会」(交通管理者)と「道路管理者」であり、交通管制センター、信号機は都道府県公安委員会以外は設置出来ないとなっています。(各都道府県公安委員会は、各都道府県警察を監督する立場にあるため、交通管理者は実質、各都道府県警察になります。)
道路交通法施行規則
信号機の構造及び燈器の高さの基準は、この規則で決められています。
以下、関係する部分の抜粋です。
(信号の表示)
第三条の二 令第二条第三項 又は第四項 の規定による公安委員会の表示は、別記様式第一の二の標示を、当該信号機の信号に対面する歩行者、車両又は路面電車がその前方から見やすいように、信号機の燈器に接して設けて行うものとする。
(信号機の構造等)
第四条 信号機の構造及び燈器の高さの基準は、別表第一のとおりとする。
2 青色の灯火の矢印及び黄色の灯火の矢印の種類及び形状は、別表第一の二のとおりとする。
3 信号機の燈器の性能は、次の各号に定めるとおりとする。
一 燈火は、高速自動車国道及び自動車専用道路においては二百メートル、その他の道路においては百五十メートル前方から識別できる光度を有すること。
二 燈火の光の発散角度は、左方、右方及び下方に、それぞれ四十五度以上のものであること。
三 太陽の光線その他周囲の光線によつて紛らわしい表示を生じやすいものでないこと。
別表第一 (第四条関係)
信号機の構造及び灯器の高さ | 縦型 | 中央柱式 | 図 | 備考 一 道路の状況により必要があるとき又は主として歩行者のために設ける信号機(以下この表において「歩行者専用信号機」という。)若しくは可搬式の信号機を設けるときは、二・五メートル以上の高さとすることができる。 二 上記の図示の長さの単位は、メートルとする。 |
側柱式 | 図 | |||
懸垂式 | 図 | |||
横型 | 図 | |||
灯器の構造 | 縦型 | 赤、黄及び青の三色を備えるもの | 図 | 備考 一 信号表示面が円形となつている信号機の当該信号表示面の直径は、二〇センチメートルから四五センチメートルまでとする。ただし、歩行者専用信号機又は可搬式の信号機にあつては、一五センチメートルとすることができる。 二 信号表示面が正方形となつている信号機は、歩行者専用信号機のみに用いるものとし、当該信号表示面の一辺の長さは、二〇センチメートルから二五センチメートルまでとする。 三 背面板を設ける場合にあつては、その図柄は幅一〇センチメートルのしま模様とし、その色彩は緑と白又は黄と黒とする。 |
赤及び青の二色を備えるもの | 図 | |||
横型 | 赤、黄及び青の三色を備えるもの | 図 | ||
赤及び青の二色を備えるもの | 図 | |||
点滅型 | 図 |
実際は、別表第一を見ても交通信号機灯器の高さは図となっておりこの図が見たくてネットで調べましたが見つけられませんでした。
さらに、調べると次の様な資料が公開されていました。
都道府県警察が公開している「交通信号機工事仕様書」を見ると、大半の仕様書に、歩行者用灯器は、「灯器の最下部が地上高さ2.5m(別表第一のとおり)」とあり、車両灯器は、「特段の指示が無い限り灯器の最下部は車道の最高部の地上から5.5mとし、矢印灯器を設置した場合でも5mを確保する」とありました。
また、警察庁交通局長名「道路交通法の一部を改正する法律の施行に伴う交通警察の運営について」の中に、「信号機の灯器の高さに係る規定を4.5メートル以上(縦型の中央柱式については3.5メートル以上、備考一については二・五メートル以上)とした(府令 別表第一)。」とありました。
交通信号機灯器色のルール
信号機の表示する信号の基本は、青色・黄色・赤色の灯器です。
- 青色は、進んでも良い。
- 黄色は、止まれ。(車両のみ)
- 赤色は、止まれ。
- 黄色点滅は、注意して進む。(車両のみ)
- 赤色点滅は、一時停止して進む。
黄色、黄色点滅は急いで進めではありません。黄色点滅は、どうしても安全に停車できないら注意して進むです。
交通信号機灯器の滅灯
交通信号機自体は、電子部品で動作する機器です。電子機器としては、屋外に置かれ条件的には故障し易い環境にあると言えます。しかしながら、交通信号機自体が故障しているのを余り見かけないのは、個人的には凄い事だと思います。
交通信号機灯器が滅灯するケースとしては災害(停電したり倒れたり)によるものが、広範囲に渡り影響があります。
交通信号機灯器が故障等により滅灯(めっとう、ランプが消えている状況)している時は、「警察官がいない交差点では、交差点などの手前で一時停止し、周囲の歩行者や車両を確認した上で、速度を十分に落として通行すること。」とあります。